ウトと夫は、ウトの田舎の関係で季節の旬の物が手に入り、それを 
調理するのが結構得意。 
我が子もそれを誇らしげに言いふらす。 
ウトの実家は、大ウトメが鬼籍となってからは家は本家の方に維持 
管理してもらい、村の山と川の鑑札(?)というのか、村の者がここ 
ら辺の山と川なら入って採ってもいいよみたいな許可証みたいのだ 
けはお金を払って維持している事から、鮎とか筍とか山菜に別の分 
家筋と一緒に猟まで出来ちゃうくらいには里山が近いんです。 

でも、本当はうちのも含めて本家や各分家の山に入るだけで充分で、 
村や本家に色々と払っているのは、村でのウト実家の墓や立場を維 
持するためだけとのこと。 
そして、一族のどこかの山では松茸も取れるらしく、今回はこれが 
泥一家を呼びこむ羽目となりました。(私は嫁で教えて貰えない)

本家から秋に松茸が届いた事を知ったご近所さんが、ウトの田舎に 
凸ってくれやがりました。 
田舎の場所を教えてしまったのは、我が子の小学校の作文。 
毎年夫のハトコが鮎を囲い込みしてくれてるので、掴み取りして食 
べに行ってるのを、事細かに書いてしまった我が子。 
夏休みにも、ウトと夫が川で取った鰻をさばくのを日記にも書いて 
公表してたし、他にも散弾入りの何かのトリや鹿や猪が届くのです 
が、松茸だけにピコーンとなった我が子と同級生なご近所の泥一家。 
我が子から村への行き方を聞き出して、泥と化しました。 
でも、山に入った事もない街中の素人が、マムシとかは当然として 
猪や鹿や猿が闊歩し、時には熊も出ようかと言う場所に踏み入れて、 
タダで済むはずがない。 
お決まりの遭難。 
消防に携帯が繋がり、場所もすぐ分かる所だったらしく、村の青年 
会というか消防団とかが鉄砲片手でお迎えに。 
その時にうちの名前を出したらしく、ウトと夫が村へ飛んでいって 
平謝り。本家から村の長老方から土下座行脚だったそうです。 
泥一家は助けられた時は感謝感激命拾いしたと騒いでたのに、夫に 
は見せびらかしただの松茸分けてクレなかったからだのとギャーギ 
ャー喚き、山菜と思って採取した物とかを持ってたことから捜索現 
場に来てたK察にお持ち帰りされたそうで。 
夫に言わせれば、村の子供でも入ってる夫も行ったことのある裏山 
の麓の様な所だったらしく、残念ながら遭難レベルの話でもなく、 
林の中にお出迎えの感じだったそうです。

ところが、こちらに戻って来たら来たで周り中にうちの田舎がどれ 
だけ野蛮なところか、銃で脅されたとか吹聴して回る。 
小学校でも騒いでくれて、うちの子が日記で書いてた田舎で愛用し 
ている肥後守は危険な問題行動と非難したり、田舎で脅されたのは 
うちに嵌められたとか言いふらして担任に呼び出されました。 
呼び出されて、泥家が田舎でやらかした遭難騒ぎや森林窃盗罪でし 
ょっ引かれた事を伝えたら、今度は誹謗中傷だと騒ぎはじめる。 
確かに、うちの子には幼少時より田舎では笛を首からぶら下げさせ 
ており、小学生になってからはウトや夫の監督下でのみ肥後守を持 
たせて里山での刃物の使い方含め色々と教育しています。 
笛も、夫が選んだきた金属製で、田舎の方では山近くでは金気の物 
を持っておくようにという風習があるとの事で、私も一緒に山に近 
付く時は持たされてます。 
泥ママはなんでもヒールやスカートで山に入ってたらしく、何の装 
備も持たずに怪我しなかっただけでも幸運だと思うし、銃は万が一 
の為の装備だと思うのですが、その辺の話は小学校の先生方ですら 
理解してもらえませんでした。 
ただ、実際に逮捕されたという事実から、非が泥家にあり逆ギレし 
ているだけという事は理解してもらいました。 
そうこうしていると、遂に泥ママがやって来て謝罪かと思ったら来 
年からは松茸を貰ってやるからとか言ってきたので、これはもう話 
にならないと、ウトの知り合いの弁護士さんを通して〆てもらいま 
した。 
ウトと夫に任せっきりでどう〆たのかは知らないのですが、山菜泥 
で逮捕されたのが泥パパの職場にバレたらしく、この冬休みで泥マ 
マ実家の他県へ引越すとのことでした。 
最期まで謝罪はありませんでした。

このお正月、私もウトメらと一緒に村へ行って村中に挨拶に行かな 
ければいけなくて、準備しながら今から暗澹たる気分になったので 
吐き出してみました。 
救いは、本家のご当主夫婦が昔は東京でモボ・モガやってたと言う 
のが自慢で、九十超えた今でも畑仕事の傍らで携帯やネットを操る 
とても理解のある方という事でしょうか。 
一応夫が謝罪に回った時も、この本家の当主がとりなしてくれた事 
もあり、村の長老方は分家さんとこがやらかしたワケじゃないし、 
厄介なのが引っかかったのはしゃぁない、あいつら以外にも松茸狙 
いの連中は来るし、逆に分家さんとこは災難やった、と言ってくれ 
たそうです。 
ですが、夫もそれをハイソウデスカと素直に受け取るわけにはいか 
ないと、ウトと連名で村の関係者にお歳暮送って、特に長老方や隣 
組の方々にはさらに別にお酒とか送り、村の神社にもこのお正月に 
樽酒を奉納してます。 
元旦には本家で年賀会があり、いつもは挨拶だけに寄るのですが、 
今回は参加が決まっており話題にされないワケがない。 
隣村出身のトメの実家からも問い合わせが来てたって言ってたし。 
本家の台所で、本家分家の各嫁々方と一緒に立つのはイヤだ〜、絶 
対なんか言われるだろうから、と今から鬱々してます。