子供の幼稚園のお遊戯会の衣装作りがあって、ママ友から泣きつかれてちょこちょこ教えていた。

勿論作るのはママ友。

またわからなかったら、いつでも連絡してって話をしてあった事が前提。



19時半頃インターフォンが鳴って、モニター越しに出てみたらリーマン風の男の人が。

「妻に言われて持ってきました。」

ママ友旦那?あれ?と思いながら玄関に出てみたら手芸屋の紙袋を渡された。

わからない所を旦那が聞きに来た?と思って紙袋を受け取ったら重い。

紙袋は2重に重ねてたし。

衣装じゃない重さなのはわかったけど、何を持たせたんだと思ったらリーマン風がため息混じりに

「あなたねぇ。一度引き受けたんだから、ちゃんとしてくれないと困りますよ!式は来週なんですよ!!妻が何度電話しても繋がらないって言うから俺が直接来ました!短大時代の友達だって言うから任せようと思ったのに!金を受け取っておきながら、どういうつもりなんですか?!何度も言いますが式は来週なんだから、ちゃんと仕上げて貰わないと訴えますよ!!○山さん!!」

って一気に怒鳴られまくった(台詞はうろ覚え)紙袋の中身はクッション大に畳まれたサテンだった。

「いや・・・あの・・・うち○山さん家じゃありませんけど・・・。」

って言ったらリーマン風は激昂して目が血走ってきた。

殺されるかと思った。

その時丁度同じ階のお宅の旦那さんが帰宅してきたのが遠くに見えたので

「△田さーん!!」

地獄に仏の△田さんを大声で呼んで、来てもらった。
ありがとう△田さん。

△田さんに私が今の部屋に住む前に、○山さんって人が住んでいた事を確認して、△田さんが自宅のドアの鍵を開けて入っていったのを見て、やっとリーマン風に私が○山さんで無い事は理解してもらえた。

今度は○山さんの消息について質問攻め。

さっきまでの勢い無くなってシドロモドロのリーマン風。

心配した△田さんが戻ってきてくれた。

リーマン風が言うには

「来月結婚するので妻(正確には予定)の友人である○山さんにウエディングドレスの制作を依頼した。妻が言うには○山さんは趣味で制作依頼を受けていた。妻は料金を渡したと言っていた。どうしよう。」

ここで△田さんが情報提供。

△「○山さんは激務の職場に勤めていて、早朝出勤して終電間近に帰宅する事も多かったようだしドレス作りが趣味って無理じゃない?」

ついでに私も不審点を聞いてみた。

私「結婚が決まってから今まで放置?この数ヶ月何してたの?」

リ「結婚が決まったのは1ヶ月前なので・・・。」

私「1ヶ月や2ヶ月で本業の仕事しながらドレス作りか・・・。無理でしょ。そもそもホントに親しかったの?ドレスを依頼してから何回会った?」

△「デザインの打ち合わせとか、サイズはかったりしなかったの?」

り「・・・・・さぁ。僕も会った事がないので・・・。」

私「・・・・・とりあえず妻予定の人に、いくら払ったのか聞いてみたら?警察に届けたりあるだろうし。」

リーマン風、携帯電話を出して電話する。
いや、帰ってかけろよと。

でも野次馬根性で聞き耳たててみた。

リーマン風妻予定の言い分は

「お金は大丈夫って言っただけで、払ったとは言ってない。依頼は何度も電話で伝えた。デザインも伝えてある。え?住んでない?●年前までは住んでたよ?(我が家が住みだして3年目)電話も繋がらないし、今どこにいるの?実家?シラネ。」

リーマン風は電話相手と少し言い合いして、電話終了。脱力してました。

とりあえずリーマン風から謝罪をもらい、私から△田さんにお礼を言って一見落着。

今にも枯れそうなリーマン風の背中を見送りながら△田さんと

「あれって断っても断ってもしつこいから着拒否されたかケータイ変えたって感じだねぇ。」

って少し話して解散した。
終わり。