仕事が落ち着き何年かぶりに地元に戻った時、学生時代同人仲間だったAと久しぶりに再会した。
傍らに小さな男の子がいたのでもしやと思い
「子供さん?」
と聞くと売れしそうに
「うん!今年で4歳」
と答えた。
男の子は人見知りなのか、まったく顔を上げずにしたばかり見ている。
「飴好き?」
と聞くと下を見ながらも
「好き」
と答えたので、Aに了解をとってひとつあげると、おずおずと受け取って口に入れて舐めていた。
ずいぶんおいしそうに舐めるのでお腹すいてるのかなと思い
「今日はお母さんとどこかに行ってたの?」
と聞いたら、子供が言う前にAが
「遊園地と水族館に行って、これから旦那と合流して晩御飯なの」
と答えてきた。
すごいねぇ、そんな一気に行ったらくたびれたでしょ、と子供さんに聞いたらまたAが
「えーママと一緒だからどんなところでもいけるもんねえ」
と答えた。
その様子に不振に思いながらも、人見知りな子供をAがかばっているだけなのかもと思いなおし、そこで別れた。
何カ月か後、また地元に帰った時に会った別の友人にその話をしたら、かなり焦りながら教えてくれてわかったこと。
その時Aが連れていた子供は、Aが何カ月もストーカー行為を働いている男性の息子さんで、私が彼女と会った日、Aは家族の監視の目をかいくぐり息子さんの通う保育園に向かい「代理で来た」と言葉巧みに先生をだまして子供さんを連れ帰ろうとしたらしい。
その家に連れて帰る途中私と会い、「息子だ」とでっちあげ信じ込んだ私を見て、母親の気分に浸っていたらしいが、家に帰るとそこにはAがいないことを察知した家族が呼んだ警察が待ち構えていてあっさりと御用になった。
その後、Aは今までの所業と合わせて危険と判断され、檻つきの施設に送られたそうだが、ごく最近その施設からも脱走し、その時私や友人たちにこんなメールをよこしてきた。
「○○(Aが勝手につけた子の名前)、あの子供は彼の傍にいつくあの女に代理出産して産ませた、正真正銘私の子」
「○○の体を調べれば、あの子が私と彼の間にできた命だとわかる」
「全てはあの女が悪い死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
「今すぐにあの子を返して。母親が息子を求めて何が悪いの!」
学生時代優しくて子供好きだったAはどこへ行ったんだろう。
施設には連れ戻されたらしいが、今でも監視の目を盗もうと必死らしい。
自分でも作り話であってほしいと思うが、これ全部本当の話。
頼むから、自分がしでかしたことの重さに気付いてくれと願わずにはいられない。
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