二十年近く前の修羅場。 

自分は当時小学校低学年くらいだったのだが、その当時の記憶がさっぱり無い。 
その頃に両親が離婚し、父親に引き取られて、父親の実家で祖父母と四人で 
暮らしていた。 

どうにもモヤモヤするので父親に聞いてみたら、衝撃の事実がわかった。



その当時、近所に母親を亡くして父親と二人暮らしの、私と同い年の女の子がいた。
いつもおなかをすかせて、綺麗な服も着ていない女の子を、私の母は同情して、
家に連れて来ておいしいものを食べさせたり、綺麗な服を買ってあげたりしていた。
母親がいないから、可愛がって、いつもかまってあげていた。

その間、私はほったらかし。
おやつも無い。服も買って貰えない。おもちゃも譲渡させられる。
文句を言うと、あの子はかわいそうだから、と叱られる。

それが続き、私は母親にかまってもらおうと自分で足を骨折させた。
けれど、全然かわいそうじゃなかったようで、次々怪我を作って行った。
多分、精神もおかしくなっていたと思う。

そんな自分を見かねたのか、父親が私に話を聞くと、
どうすれば、あの子よりかわいそうになれるの?
と、完全に焦点の合ってない目で呟いたそうだ。

結局、父と母は私の事で大ゲンカ。そして、その際に女の子の父親との不倫発覚。

離婚して私は父と実家に戻り、父親と祖父母からたっぷり愛情を貰って普通に育つ事が出来た。
女の子の父親と元母は再婚し、子供が生まれてから愛情は自分の子だけに注がれたらしく、
今まで貰えていた愛情をいきなり無くした女の子は結局グレて家を出たそうだ。

かわいそうな子を作ったのは、紛れも無く母親だと思うが、特に同情は無い。記憶も無いし。