3年ほど前、友人と名古屋に旅行に行った。

俺たちはそれぞれ行きたい場所があったので別行動をとっていた。

しかしかなり方向音痴な俺は道に迷ってしまった。

別行動の後で落ち合う場所(栄のオアシス21)を決めてあったんだが、そこにたどり着けそうもなかった。

なので携帯で友人に電話をして迷子になった旨を伝えた。


友人が

「お前が今いるところの周りに何がある?」

と訊いてきたので

「えーっと、周りに何があるかっていうと…」

と言いながら俺は辺りを見回していた。

そしたらいきなり思いっきり肩を叩かれたのでめちゃくちゃびっくりして振り向いたら、見知らぬおばさんが立っていた。


全然状況が理解出来なかった。

するとそのおばさんはある建物を指差して、『Y・M・C・A』というふうに腕というか体全体を使って表現し始めたww

ますます状況が理解出来なかった。

おばさんは3、4回『Y・M・C・A』を繰り返し、しびれを切らしたように

「だからっ!近くに目印になる物が何かないか探してたんでしょっ?YMCA(ビルの名前)があるから教えてあげたのよっ」

と言って去っていった…


電話の向こうまでそのおばさんの声は聞こえたらしく友人は爆笑していたが俺は言葉を失ってしまったわ。

おばさんは俺が電話中だからってことで声を出したら悪いと思って体を使って表現してくれたんだろうけど、ちょっとあんまりにも衝撃的すぎて怖かったわ。

まぁおかげで迷子から無事脱することが出来たわけだが。

その時は驚きの方が大きすぎて、感謝の気持ちが訪れたのは旅行が終わってからだったな。